初めまして。産業医のPOPです。
産業医って知っていますか?
え?知らない?
・・・ですよね。
そう、産業医って一般の方にはほとんど知られていないんです。
知られざる予防のプロフェッショナル、産業医。
これが私の職業です。
健康に関する有益な情報をより多くの人に届けたいと、ブログを始めることにしました。
ブログを始めた理由について書いた記事はこちら↓
https://yoboudr.com/reason-why/
産業医とは何?
産業医とは、働く人の健康を守るのが使命の医師です。
病院ではなく企業にいて、そこで働く人たちの健康を支えています。
通常の医師免許に加えて『産業医の資格』も持っています。
健康を支える、守る。
どうやって?
それは・・・
予防です。
予防、すなわちあらかじめ防ぐこと。
産業医の職務は非常に幅広いものです。
あえて簡潔に一言で説明すると、働きかたに詳しい、予防する医師と言えると考えています。
産業医は法で規定されている仕事
「産業医」というのは法的な言葉です。
「労働安全衛生法」という、働く人の安全と健康を守るための法律で定められています。
労働安全衛生法(安衛法:あんえいほう と略します)により常時50人以上を使用する事業場では産業医を選任しなければなりません(安衛法第13条)。
つまり、こういうことです。
アルバイトやパートの労働者を含めて、ほぼ常に50人以上を雇っている職場(事業場)では産業医資格を持つ医師と契約を結ばないといけません。
※会社単位ではないことに注意
契約して、その産業医名を労働基準監督署という役所へ届け出るところまでがワンセットです。
こうして、「産業医資格を持った医師」は「●●という事業場の産業医」となるのです。
・・・ですが、こうした厳密な説明は一般の方にとってみればどうでもいい上に面倒なので
私は自分のことを「産業医です」と名乗ることが多いです。
産業衛生専門医という、産業衛生学会(日本最大の産業医などの学会)の専門医資格も持っていますがこれまた一般の方には大抵の場合どうでもいいのですよね。
とほほ。
産業医は診断も治療もしない
多くの方が知っている医師は病院にいて、内科や外科などそれぞれの専門分野で患者さんの病気を診断したり、治療したりしています。
病院以外にも医師の活躍の場は複数ありますが、いずれもあまり一般の方には知られていません。
病院以外で働く医師は、たとえば以下のような仕事をしています。他にも色々ありますが・・・
- 研究者:大学や研究機関で基礎研究などを行う
- 行政機関:厚生労働省の官僚(医系技官)や保健所の所長など
- 保険会社:保険の査定を行う
- 産業医:企業で働く ←コレ!
産業医という仕事の特徴は、診断も治療も行わないということにあるでしょう。
診断や治療は、病院に努める臨床医の本業です。
産業医が会社内で診断や治療を行うとしたら、社内診療所での業務を担当する場合や急患発生時の応急処置などでしょう。
ですから、診療所や健診の業務を行うときを除けば多くの産業医は白衣を着ていません。
オフィスならスーツなどのビジネススタイル、工場などの現場なら作業服といったように一般の従業員と同じ格好をしています。
そして、「予防」を中心とした様々な仕事を通じて、その職場で働く人の健康を守っています。
産業医の具体的な仕事内容についてはここでは語り切れませんので、これまたいずれ記事にしていきます。
実は産業医は兼業ならたくさんいる
産業医という仕事があまり知られていないのは、産業医として働いている医師が少ないから・・・ではありません。
産業医の資格を持つ医師は約9万人(約30%!)もいます。
そのうち、産業医として実際の活動を行っているのは約3万人と推計されています。
※(公社)日本医師会産業保健委員会答申(平成28年3月)より
日本中の医師のおよそ10人に1人が産業医として働いていることになります。
それにも関わらず「産業医」の認知度が低いのはなぜでしょうか?
多くの産業医は本業である臨床医としての仕事の傍ら副業として産業医の仕事をしています。
その先生方は「どんな仕事をしているか?」と聞かれても「産業医」とは回答しないでしょう。
産業医としては月に半日だけ働く、などといったケースが多いと考えられるためこれは仕方のないことです。
そのため、実際に自分が産業医と関わった経験のある人以外は「産業医」という仕事について情報を得る機会が少ないのです。
産業医としての活動が業務のほとんどを占める私のような専業産業医はかなり珍しいということは言えそうです。
多くの兼業産業医の先生方は、病院の勤務医であったり、地域の開業医であったりします。
本業だけでも多忙を極めるなか、本業の知識や技術の維持向上のために貴重な休みを使って学会、勉強会や研修会に参加しています。(プロとして当然の姿勢ではありますが)
そこにプラスアルファで専門外の産業医業務、そのための勉強や研修・・・本当に頭が下がります。
日本の多くの労働者の安全と健康は、こうした兼業産業医の先生方が必死で守ってこられたと言うこともできると考えています。
時代と共に高まる産業医へのニーズ
産業医の仕事(働く人の健康を守ること)には最近では日本全体(?)からの熱い期待が寄せられつつあります。
- 過重労働や過労死の問題
- 労働者の高齢化
- 労働者の多様化
- 産業構造の変化
上記のような社会的な問題や課題を背景として職場における健康上の課題が変化してきているため、産業医の果たす役割にこれまで以上に注目が集まってきています。
健康をケアする意義
国の年金などの社会保障制度がいつまでもつのか、などといった不安の声もよく耳にします。
こうした先行き不透明な時代、誰にとっても重要なのは健康です。
55歳や60歳で定年退職して、悠々自適の隠居生活・・・これはすでに過去の話。
65歳、70歳、75歳・・・いつまで働くか?どのように生きるか?
それぞれが選択していかねばなりません。
その時、進みたい道を行けるかどうかは、健康であるかどうかで大きく変わるでしょう。
これは病気や障害を持つ人はダメだとかそういう主張では全くありません。
スタート地点は皆違います。
健常者であっても10代と80代で身体能力や体力を比較するのもおかしな話です。
目標とする健康レベルも人それぞれ違うでしょう。
後から振り返って「この病気やけがによる苦しみは避けられたはずなのに」と思う機会を減らしましょうよ、ということです。
健康は空気のようなもので、つい当たり前にいつも(明日も1年後も10年後も)あるものと思ってしまいがちですよね。
しかし、これからの時代は自分で健康管理をすることが一層重要です。
失ってから後悔するのではなく、今あるものを大切にして、少しでもいい状態でいられるように積極的に行動してほしいのです。
健康は人生の基盤です。
普段あまり気にすることはないかもしれませんが誰しも、風邪をひいた時などに健康のありがたみを実感した経験があるのではないでしょうか。
予防などの活動を通じて心身のメンテナンスをしていくことは健康というかけがえのない資産を守ることと言えます。
このブログでは、人生をより良く楽しく送れるような、産業医目線の試行錯誤で色々な最適を探し求めていきます。
- 産業医とは、働き方に詳しい予防する医師である
- 50人以上の職場には産業医をえらぶ法的義務がある
- 兼業産業医はたくさんいるけど、専業産業医は少ない
- 健康の重要性が高まっている